EUTM出願(欧州連合商標出願)とは

EUTM出願(欧州連合商標出願)とは

EU(欧州連合)で商標権を取得するためには、EU各国に出願するという方法があります。しかし、EUTM(欧州連合商標)を登録すれば、EU(欧州連合)加盟国全体で商標権を取得・保護が可能です。

文字商標や立体商標、音響商標や図形など視覚的に表現可能なものや、過去にはにおいの商標についての登録例もあります。

EUTM出願の流れ

  • STEP 1

    出願
    出願する際には、EUいずれかの国の公用語を第1言語とし、第2言語に次のいずれかを選択しなければいけません。

    英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・スペイン語

    権利範囲はディスクレームすることができ、それによって拒絶理由通知を避けられる可能性があります。

  • STEP 2

    審査
    審査では、方式審査と絶対的拒絶理由のチェックします。絶対的拒絶理由の審査でチェックされる点は次のようなものがあります。

    識別力のない商標 商品の種類、品質、商品生産時期など形状のみまたはその他の特徴のみからなる商標 商品の品質や原産地、サービスの性質を欺くような商標 公序良俗に反する商標
    他の商標と類似している場合については、異議申し立ての場合に審査が行われます。

  • STEP 3

    調査
    EUIPOとEU各国官庁が先行する同一または類似の商標出願の有無について調査します。先行する商標出願が合った場合は出願人と商標権者に通知されます。

  • STEP 4

    異議申し立て
    調査報告後、1ヶ月程度で出願が公告されます。ここから3か月の間で異議申し立てが行われるのですが、出願人は2ヶ月のクーリングオフ期間が与えられます。

    クーリングオフ期間で当事者同士で交渉し、和解することも可能です。出願が拒絶された際、出願人は答弁書を提出することができます。

  • STEP 5

    登 録
    異議申し立てがない、または異議申し立てが認められなかった場合は、商標登録となります。商標登録の存続期間は出願日から10年です。

    登録は更新でき、原則存続期間満了月の末日前6ヶ月以内に行わなければいけません。

    登録しても、過去5年間使用されていない商標は取り消しとなります。また、登録後に登録商標の所有者から後から出願された登録商標を無効とする宣言を出すこともできます。

EUTM出願(欧州連合商標出願)のメリット

  • MERIT 01

    1度の出願で
    EU加盟国をカバーできる

    EU加盟国の商標権獲得を1度の出願でカバーできるため、各国に出願するよりも容易です。
    また、更新手続きも1度で済ませることが出来ます。

  • MERIT 02

    不使用による
    取り消しリスクが軽減する

    商標が5年間不使用の場合は取り消しとなりますが、EU加盟国のいずれかの国が使用していれば取り消しは行われません。

  • MERIT 03

    出願費用を抑えられる
     

    EU加盟国の中で多数の国での出願を考えている場合、各国に出願するよりも費用を抑えることが出来ます。


EUTM出願(欧州連合商標出願)のデメリット

  • DEMERIT 01

    数か国だけ指定しての
    出願は不可

    EUTM出願では、EU加盟国すべてに出願を行う為特定の国を指定した出願を行えません。
    また、EU加盟国の中で1か国でも拒絶されれば商標登録が受けられません。この場合、EUTM出願ではなく各国出願に切り替えることになり、新たに現地代理人費用が発生します。

  • DEMERIT 02

    取り消し・無効の
    権利も一体

    EU加盟国のいずれかで商標の取り消しや無効が確定した場合、すべてのEU加盟国で権利が消失します。

  • DEMERIT 03

    国ごとの
    商標権譲渡は不可

    商標権の譲渡については国ごとに行えず、加盟国一括での譲渡となります。

  • DEMERIT 04

    相対的拒絶理由が
    審査されない

    審査では方式審査と絶対的拒絶理由のみがチェックされるため、相対的拒絶理由は審査されません。
    同一や類似の商標があることで、出願後に異議申し立てを受けるリスクがあります。


EUTM出願の費用

1区分2区分3区分以上
出願料(ユーロ)850900追加150/追加区分
出願料(ユーロ)850900追加150/追加区分

商標登録時には費用は不要となっています。

また、商標登録が先行商標と重なり無効となるリスクを避けるため、出願前にEU加盟各国の商標調査をすることが望ましいと言えます。この際の費用は、現地代理人に依頼すると約1,200~1,500ユーロかかります。

登録後についても、類似商標登録を避けるために定期的に調査をすることが望ましいでしょう。

出願前調査と登録後の調査については、日本の国際特許事務所、法律事務所でも行っています。こちらの費用は事務所によって異なりますので、一度確認してみると良いでしょう。

EUTMで出願できる国EUTM出願では、2021年2ヶ月現在EUに加盟している27か国において一度での商標登録出願が可能です。

アイルランド・イタリア・エストニア・オランダ・オーストリア・キプロス・ギリシャ・クロアチア・スウェーデン・スペイン・スロバキア・スロベニア・チェコ・デンマーク・ドイツ・ハンガリー・フィンランド・ブルガリア・フランス・ベルギー・ポルトガル・ポーランド・マルタ・ラトビア・リトアニア・ルクセンブルク・ルーマニア

EU非加盟国である英国やノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインに対しては、各国に対し別途商標登録の出願が必要です。

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