Newsletter 2023年12月号

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ご挨拶
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今年も残すところあとわずかとなり、皆様におかれましては、何かとご多忙のことと拝察いたします。

さて、今月号のニュースレターのトピックスですが、「2024年1月1日施行「不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」」、「出願・予備審査請求の国際出願関係手数料に係る軽減・支援措置」、「丸山 陽一弁理士加入のお知らせ」、「冬期休暇のお知らせ」についてです。

2024年1月1日施行
「不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」

2023年11月29⽇付けで、「不正競争防⽌法等の⼀部を改正する法律の施⾏期⽇を定める政令」及び「不正競争防⽌法等の⼀部を改正する法律の施⾏に伴う関係政令の整備に関する政令」が公布され、不正競争防⽌法等の⼀部を改正する法律の施⾏期⽇が定められました。

来年1月より変更になる⼿続き等を以下に解説します。
(改正法のうち、不正競争防止法改正関連の措置事項、他人の氏名を含む商標に係る登録拒絶要件の見直し、商標におけるコンセント制度の導入及び中小企業の特許に関する手数料の減免制度の見直しについての施行期日は、2024年4月1日となります。)

①書面手続のデジタル化のための改正

これまで書面でしか提出できなかった手続の電子申請が可能になります。以下、「電子特殊申請」と呼びます。(電子特殊申請対象書類一覧は、特許庁のホームページをご参照ください。)

今回の改正に伴い、インターネット出願ソフトに新たな機能が追加されます。提出の仕方は、特殊申請機能を用いて、書誌情報を入力した「送付票」(XML)を作成し、申請書類(PDF)、及び当該申請書類と共に提出すべき物件があれば「添付書類」(PDF)として、「送付状」に添付の上送信します。

また、現在押印が求められている証明書等についても、電子署名をすることで電子特殊申請により提出することができます。この電子署名の付与は、デジタル庁GPKI電子署名アプリを利用します。※1

無効審判請求書や異議申立書等についても、電子特殊申請が可能になります。電子特殊申請で提出する場合は、副本の提出は不要です。

電子特殊申請の対象となる審判事件

  • 無効審判(特許、実用新案、意匠、商標)
  • 商標登録取消審判
  • 特許異議の申立て
  • 商標登録異議の申立て
  • 訂正審判
  • 判定(特許、実用新案、意匠、商標)
  • 除斥、忌避、再審、証拠保全
  • マドリッド協定議定書に基づく商標の国際登録出願に関する拒絶査定不服審判/補正却下決定不服審判

無効審判事件において、電子特殊申請で提出された審判請求書及び証拠書類(PDF)は、特許庁でDVD-Rに記録し、相手方当事者へ送付されます。特許庁側で、原則、事前に受領する者に当該DVD-Rを送付することについて承諾の確認を行います。

承諾されない場合や相手方当事者と連絡が取れない場合等は、当該提出された書類を特許庁で紙出力したものを副本として送付します。

また、異議申立書、審判請求書、判定請求書、参加申請書の様式に、「書面の副本に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係る承諾」の欄が新たに設けられ、承認した場合は、以後相手方当事者が電子特殊申請で提出した申請書類、添付書類(PDF)を記録したDVD-Rが送付されるようになります。

なお、承諾をしない場合は、承諾しない旨とその理由を記載します。※2

②優先権証明書のオンライン提出許容のための規定整備

優先権証明書の電子特殊申請が可能になります。従来の「優先権証明書(原本)の書面による提出」に加えて、以下の形式の優先権証明書の提出ができます。

オンライン提出

第⼀国政府が書面で発⾏した優先権証明書をPDF形式に電子化したもの
第⼀国政府が電子的に提供した優先権証明書(PDF形式。第⼀国政府がPDF形式以外の形式で電子的に提供した
優先権証明書を、出願⼈の⼿元でPDF形式に変換したものを含む。)

書面提出

第⼀国政府が書面で発⾏した優先権証明書の写し
第⼀国政府が電子的に提供した優先権証明書をプリントアウトしたもの※3

③e-Filingによる商標の国際登録出願の手数料納付方法の見直し

これまで、Madrid e-Filingを利用した商標の国際登録出願の本国官庁手数料は、特許庁に納付する必要がありましたが、本国官庁手数料9,000円に相当する額をスイスフランで商標の国際登録出願に係る他の手数料と共にWIPOに納付する方法に変更されます。

これにより、商標の国際登録出願に係る手数料はまとめてWIPOに納付することとなります。※4

商標の国際登録出願に係る手数料

図引用元:経済産業政策局 知的財産政策室 特許庁 制度審議室「不正競争防止法等の一部を改正する法律【知財一括法】の概要」※6
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/r5kaisei06.pdf p13

④意匠の新規性喪失の例外規定の適用手続の要件緩和

新規性喪失の例外規定の適用手続が緩和されます。(2024年1月1日以降にされた意匠登録出願が対象。)

意匠登録を受ける権利を有する者(権利の承継人も含む)の行為に起因して公開された意匠について、最先の公開の日のいずれかの公開行為について証明することで、その日以後に公開した同一又は類似の意匠についても新規性喪失の例外規定の適用が受けられます。※5

意匠の新規性喪失の例外規定の適用手続の要件緩和

図引用元:特許庁審査第一部意匠課 意匠審査基準室「意匠の新規性喪失の例外規定の適⽤を受けるための⼿続について(出願前にデザインを公開した場合の⼿続について)」令和5年11月29日 ※5
https://www.jpo.go.jp/system/design/shutugan/tetuzuki/ishou-reigai-tetsuduki/index.html

参照/引用元:
特許庁 最終閲覧日:2023年12月19日 
・「不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和5年11月29日政令第337号)及び不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(令和5年11月29日政令第338号)」令和5年11月29日 
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/seireikaisei/sangyozaisan/231129_fuseikyosho-boshi.html
※1「申請手続のデジタル化について」令和5年9月20日
https://www.jpo.go.jp/system/laws/sesaku/shinsei_digitalize.html
※2「審判手続における電子特殊申請について」
https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/shinpan_digitalize.html
※3「優先権証明書の写しの提出及びオンライン提出が可能となります」令和5年9月20日
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shutugan/yusen/yusen_online.html
※4「Madrid e-Filingによる国際出願手続」
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/madrid/wipotouser/wipo_madrid_efiling.html
※5 特許庁審査第一部意匠課 意匠審査基準室「意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について(出願前にデザインを公開した場合の手続について)」令和5年11月29日
https://www.jpo.go.jp/system/design/shutugan/tetuzuki/ishou-reigai-tetsuduki/index.html
※6 経済産業政策局 知的財産政策室 特許庁 制度審議室「不正競争防止法等の一部を改正する法律【知財一括法】の概要」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/r5kaisei06.pdf

出願・予備審査請求の国際出願関係手数料に係る軽減・支援措置

中小企業等を対象とした特許料等の減免措置が規定された中小企業等を対象とした国際出願に係る手数料(送付手数料、調査手数料、予備審査手数料)の軽減措置に加え、2024年1月1日以降になされる国際出願又は国際予備審査請求に係る国際出願手数料、取扱手数料についても、中小企業等を対象とした支援措置が講じられます。

上記の支援措置に伴い、国際出願促進交付金制度は2023年12月31日をもって廃止になります。

軽減・支援措置の詳細及び対象者については、弊所にお問い合わせください。
 
参照元:
特許庁「2024年1月以降に行う出願・予備審査請求の国際出願関係手数料に係る軽減・支援措置の申請手続」2023年11月 
https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tesuryo/pct_keigen_shinsei_202401.html 最終閲覧日:2023年12月19日
 
丸山 陽一弁理士加入のお知らせ

2023年12月1日より、丸山 陽一弁理士を所長代理に迎えました。

丸山陽一弁理士は、東京工業大学大学院 理工学研究科 高分子工学専攻修了後、富士フイルム株式会社に入社し、同社の材料研究開発分野において基礎研究から商品開発まで、また感光材料、ディスプレイ用材料、ナノ粒子、カラーフィルター用材料、熱電変換材料など、様々な材料について幅広く経験しました。

新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)にてリチウムイオン電池の国家プロジェクトの立ち上げ、推進も経験しています。

丸山 陽一弁理士経歴
富士フイルム株式会社
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)出向 
高島国際特許事務所
 
学歴
東京工業大学工学部 高分子工学科卒業
東京工業大学 大学院理工学研究科 高分子工学専攻修了

丸山弁理士を迎えたことを契機に、これまで以上に充実したサービスを皆様にご提供できるよう、事務所一同努めてまいります。

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