Newsletter 2023年4月号

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ご挨拶
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4月も半ばを過ぎ、新年度の慌ただしさも少しは落ち着いた頃でしょうか。今年は数年ぶりに歓迎会を開かれた企業様も多いかと存じます。もうすぐゴールデンウイークです。是非お休みを満喫されてください。

さて、今月号のニュースレターのトピックスですが、「特許庁がステータスレポート2023を公表」「デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化」「新型コロナウィルス感染症拡大防止に伴う救済措置が終了」「米国:電子特許証の発行を開始」「助成金情報」についてです。

特許庁がステータスレポート2023を公表

特許庁が「特許庁ステータスレポート2023」を公表しました。知財に関する最新統計および特許庁の施策成果が掲載されておりますので、是非ご活用ください。ここでは、2022年における特許、意匠、商標の登録件数の国内企業上位10社をご紹介します。

  • 特許登録件数
    特許登録件数

    意匠登録件数
    意匠登録件数

    商標登録件数
    商標登録件数

    表およびデータ引用元:「特許庁ステータスレポート2023」 特許庁ホームページ
    特許庁ホームページ
    「特許庁ステータスレポート2023」

  • 2022年の登録件数は、特許、意匠、商標は増加、実用新案は減少しました。

    2021年2022年
    特許184,372件201,420件
    実用新案5,499件4,615件
    意匠27,490件29,540件
    商標174,098件183,804件

    特許登録件数は、昨年1位だった三菱電機が1つ順位を下げましたが、特許、意匠、商標の全てにおいてトップ10に入っています。三菱電機は、先日世界知的所有権機関(WIPO)が公表した2022年のPCT出願の出願人別ランキングでは、世界4位(日本企業1位)となっています。

    1位のトヨタ自動車(前年+1,170)、4位のデンソー(+1,269)が、昨年よりが大幅に登録件数を増やしています。

    意匠登録件数の上位3社は、昨年と変わりませんが、大きく順位を上げた企業が複数あります。

    商標登録件数は、昨年5位だった花王が1位に上がったことで、昨年4位までの企業が1つずつ順位を落としました。8位、9位の三菱電機と興和が大きく順位を上げています。

    共同出願は、それぞれの出願人でカウントされています。

デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえた
ブランド・デザイン等の保護強化

2023年3月10日、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、通常国会に提出されました。知的財産分野におけるデジタル化や国際化の更なる進展などの環境変化を踏まえ、スタートアップ・中小企業等による知的財産を活用した新規事業展開を後押しするなど、時代の要請に対応した知財制度の見直しが行われます。今回の改正案は、(1) デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化、(2) コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備、(3) 国際的な事業展開に関する制度整備の3つが軸になっています。ここでは、(1)について解説します。今回の改正案の具体的内容は以下の4点になります。

①登録可能な商標の拡充

コンセント制度の導入
現行制度では、他人が既に登録している商標と類似する商標は登録できないこととなっていますが(商標法第4条1項11号)、先行商標権者の同意があり、出所混同のおそれがない場合には、登録を可能にします。併せて、上記により登録された商標について、不正の目的でなくその商標を使用する行為等を不正競争として扱わないこととします。

ニュースレター2023年2月号でも解説をしております。そちらもご参照ください。
ニュースレター2023年2月号

氏名を含む商標は、一定の場合には、他人の承諾が不要に
現行制度では、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」(商標法第4条1項8号)については、たとえ自己の氏名であっても、同姓同名の他人全員から承諾を得る必要がありました。

改正条文(案)商標法第4条1項8号
他人の肖像若しくは他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)又は他人の氏名を含む商標であって、政令で定める要件に該当しないもの

かっこ書きにある知名性がない場合、政令で定める要件に該当しないものは、登録できません。具体的な要件は現段階で明示されていませんが、氏名等を含む商標を出願することに正当な理由があるか等の出願人の事情を考慮する方向で検討されています。

ニュースレター2023年1月号でも解説をしております。そちらもご参照ください。
ニュースレター2023年1月号

②意匠登録手続きの要件緩和

創作者等が出願前にデザインを複数公開した場合の救済措置を受けるための手続要件が緩和されます。
現行制度では、新規性喪失の例外適用を受けるためには、出願と同時に、その旨を記した書面を提出し(実務上は願書に記載)、出願から30日以内に新規性喪失の例外適用を受けることができる意匠であ旨の証明書類の提出が必要です。(意匠法第4条3項)
昨今、ECサイトやSNSを通じて商品を販売または宣伝するなど、公開方法が多様化および複数化しており、全ての公開についてを管理し、証明書を作成することは出願人にとって負担が大きいといえます。そこで、以下のような改正がなされる予定です。

改正条文(案)意匠法第4条3項
(省略)同一又は類似の意匠について第三条一項第一号又は第二号に該当するに至る起因となった意匠登録を受ける権利を有する者の二以上の行為があったときは、その証明書の提出は、当該二以上の行為のうち、最先の日に行われたものの一の行為についてすれば足りる。

  • 最初の公開だけでよい
  • 公開された意匠と同一または類似の範囲まで認められる

③デジタル空間における模倣行為の防止

商品形態の模倣行為について、デジタル空間(例:メタバース)上でも不正競争行為の対象とし、差止請求権等の行使を可能とします。
昨今、フィジカル/デジタルを交錯するような模倣事例が現れ始め、ネットワーク上の形態模倣商品提供行為も不正競争の適用対象であることを明確化すべきではないかとの議論がなされていました。
そこで、以下のような改正がなされる予定です。

改正条文(案) 不正競争防止法第2条1項3号
他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気回線を通じて提供する行為

電気通信回線を通じて提供する」という文言を追加し、デジタル空間上の商品提供も適用対象行為として明確化しました。

不正競争防止小委員会では、①不競法第2条1項3号の対象行為の拡充のほかに、②「商品」に無体物を含むか、③形態模倣商品の提供行為に係る不正競争の保護期間の伸長の是非についても検討が行われましたが、改正案が出されたのは、①のみで、②については、「商品」に無体物が含まれると逐条解説等に記載して解釈を明確にする、③についても、保護期間の終期の起算点を「実際の販売開始時」と解釈する旨逐条解説等で明確にしたうえで、今後の裁判例等の蓄積を注視するなどして検討が継続されることとなりました。

④営業秘密・限定提供データの保護の強化

  • ビッグデータを他社に共有するサービスにおいて、データを秘密管理している場合も含め限定提供データとして保護し、侵害行為の差止め請求等を可能に。
  • 損害賠償訴訟で被侵害者の生産能力等を超える損害分も使用許諾料相当額として増額請求を可能とするなど、営業秘密等の保護を強化。
  • 裁定手続で提出される書類に秘密が記載された場合に閲覧制限を可能に。

現行法 不正競争防止法第2条7項
この法律において「限定提供データ」とは、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によっては認識することができない方法をいう。次項において同じ。)により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報(営業秘密として管理されているものを除く。)をいう。
 
現行法の問題点:「秘密として管理されていない」が「公然と知られている」情報は、限定提供データの保護対象となりますが、「秘密として管理されている」が「公然と知られている」情報は、「秘密として管理されている」ため、限定提供データとしての保護を受けることができず、また、公知情報であるため営業秘密としての保護も及びません。

データに関し、保護の隙間が生じてしまっている

改正条文(案)
かっこ書き「営業秘密として管理しているものを除く」を「営業秘密を除く」と改める。

図表引用元
「デジタル化に伴うビジネスの多様化を踏まえた不正競争防止法の在り方」 令和5年3月産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/chiteki_zaisan/fusei_kyoso/pdf/20230310_1.pdf

参照/引用元 経済経済産業省ホームページ
https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230310002/20230310002.html
https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230310002/20230310002-1.pdf

新型コロナウィルス感染症拡大防止に伴う救済措置が終了

特許庁は、これまで、新型コロナウイルス感染症により影響を受けていた場合に定めていた取扱いを終了し、従来の救済措置の運用に戻すことを発表しました。この従来の救済措置の要件適用は、手続期間(法定期間又は指定期間(期間延長される前の期間))の末日が令和5年5月9日(火曜日)以降の手続が対象となります。

詳細は、特許庁のホームページをご参照ください。
https://www.jpo.go.jp/news/koho/info/covid19_shutsugan.html

米国:電子特許証の発行を開始

2023年4月18日より米国出願の特許証が電子発行に切り替わりました。電子特許証(eGrants) は、「Parent Center」を通してPDF形式で発行されます。電子特許証が公式のものとなり、紙媒体を希望する場合には、有料になります。米国特許庁では、移行期間を設け、その期間中は、電子特許証の写しを特許権者へ郵送します。(移行期間の終了は未定)
発行通知(Issue Notification)は、発行手数料(issue fee)の支払い後、通常は、特許発行前の水曜日または木曜日に、「Patent Center」を通じて閲覧が可能となります。そして、Issue Notificationにて特許番号が割り当てられた直後の火曜日に特許証が発行されます。
発行手数料を支払った後の分割出願・継続出願・QPIDS(Quick Path Information Disclosure Statement)、特許発行取り下げ可能期間が短くなるので、注意が必要です。特に分割出願・継続出願は、発行手数料納付前に済ませておくことをお勧めします。

参照:米国特許商標庁(USPTO)ホームページ
https://www.federalregister.gov/documents/2023/02/28/2023-03809/uspto-officially-transitions-to-issuing-electronic-patent-grants-in-2023

助成金情報(中小企業向け)

JETROが令和5年度の中小企業等向け外国出願費用の助成事業の応募期間を公開しました。
中小企業等が国内出願(特許、実用新案、意匠、商標)と同じ内容を海外で出願する場合に、これかる費用の半額が助成されます。

令和5の応募受付期間
第1回 令和5年5月8日 (月曜) ~ 5月19日 (金曜)
第2回 令和5年7月3日 (月曜) ~ 7月14日 (金曜)
第3回 令和5年9月4日 (月曜) ~ 9月15日 (金曜)

申請要件、申請方法等は、4月下旬にJETROのホームページにて公開されます。

助成対象経費
外国特許商標庁への出願料、国内・現地代理人費用、翻訳費用 等

補助率・上限額助成対象経費の2分の1以内
補助上限額1事業者あたり300万円以内(ジェトロと地域実施機関にて採択した補助金合計)
1申請案件あたり特許 150万円、実用新案/意匠/商標 60万円、冒認対策商標 30万円

助成金申請手続きは、弊所でも代行しております。

JETROホームページ 
https://www.jetro.go.jp/services/ip_service_overseas_appli.html

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