ロシアの特許制度

ロシア特許法概説

Ⅰ 全般的事項

保護対象-発明特許、実用新案特許(進歩性を要求せず、技術評価書なし)、意匠特許。
特許要件-先願主義。
加盟条約-パリ条約、EAPC(ユーラシア特許条約)、PCT、マドリッド協定等に加盟にした。
特記事項-発明した国で最初に出願する必要がある。※日本と現地との共同開発時に要注意。

Ⅱ 権利付与前

出願言語-ロシア語。外国語も可能、但し、ロシア語翻訳文を出願日から2ヶ月以内提出必要。
出願人資格-発明者及び承継人に属する。現地代理人が必要である。
出願書類-願書、明細書、クレーム、要約書、必要な図面、真の発明者の宣誓書。
クレーム-クレーム数の制限がない。複数従属クレームは認容(追加料金が不要)、複数従属クレーム同士の従属は不可。
優先権主張-基礎出願から12カ月以内に出願を行う必要。日本語の書類提出可、2ヶ月以内にロシア語の翻訳文を提出せれば可。
新規性喪失の例外-有り、猶予期間が6ヶ月である。
PCT国際出願からの国内移行-優先権日から31ヶ月。ロシア語の書類を提出しなければならない。
出願公開-出願日又は優先権日の早い方から18ヶ月で公開される(実用新案と意匠は出願公開制度採用しない、権利付与後ウェブサイトで公表)。早期公開請求可能。
審査請求制度-有り。出願日(優先日)から3年以内に審査請求ができる。2ヶ月の延長可。早期審査制度なし。第三者も審査請求ができる。ロシア特許庁と日本特許庁との間での特許審査ハイウェイ利用が可能である(21年5月18日より)。
実体審査制度-有り(実用新案は実体審査しない)。優先審査制度、早期審査制度は存在しない。
変更出願制度-有り。特許と実用新案間の出願変更制度有り。
分割出願-特許が登録される前であれば可能。親出願の拒絶査定通知に対する異議申し立て可能期間内であっても、分割出願が可能。なお、ロシアの特許制度には、米国における継続出願(CP)、一部継続出願(CIP)に相当する出願はない。
実用新案は第三者対する対抗要件について―不明
意匠-新規性、独自性の実体審査がある。部分意匠制度なし

Ⅲ 権利付与後

実施義務-有り。特許付与から4年以内。4年以上不実施の場合、 強制実施権の対象となる。
権利存続期間-特許出願日から20年、医薬品、殺虫剤、農薬等は5年の延長できる。実用新案権は出願日から10年、3年延長できる。意匠権は出願日から15年、10年延長できる。
無効審判制度-何人も、特許の無効を、特許庁に対して、特許の存続期間中、何時でも請求することができる。

2013年11月20日更新

EPCの特許制度

ヨーロッパ特許条約概説

Ⅰ 全般的事項

保護対象-特許、実用新案。
特許要件-先願主義。
加盟条約-パリ条約、特許協力条約(PCT)、世界貿易機関(WTO)協定
特記事項-ヨーロッパ特許条約(EPC)加盟国では、ヨーロッパ特許庁(EPO)が出願・審査手続きを一本化して実施しており、特許査定後、希望する加盟国への国内移行手続きを行って、当該加盟国ごとに特許権を取得。並行して国別に出願・審査・特許権取得を行う加盟国も有り。

Ⅱ 権利付与前

出願言語-EPOの公用語である英語、独語及び仏語。ただし、公用語以外(日本語を含む)も可。その場合は、翻訳文提出期間内(2月)に公用語のいずれかの翻訳文を提出。
出願人資格-発明者及び承継人(自然人、法人)。現地代理人必要。
出願書類-明細書、クレーム、要約書、図面。
クレーム-複数従属クレーム及び複数従属クレーム同士の従属は可。
優先権主張-優先期間は最先の優先日から12月以内。優先権主張の手続きは、基礎となる出願日から16カ月以内にしなければならない。(規則52 優先権の申立)
新規性喪失の例外-有り。猶予期間が6ヶ月である。
PCT国際出願からの国内移行-優先日から31月以内(国際出願の翻訳+原文、PCT19条・34条補正書、陳述書等の翻訳を提出)。
出願公開-出願日又は優先日の早い方から18月経過後。公開された出願には、仮保護の権利。
審査請求制度-有り。出願の日から、ヨーロッパ特許公報がサーチレポートの公開を告示した日後6月以内に請求。第三者による審査請求不可。
実体審査-有り。
早期審査制度-有り。日欧特許審査ハイウェイ制度有り(Patent Prosecution Highway: PPH)
拡張サーチレポート-EPO は、PCT国際出願からの国内移行の場合、拡張サーチレポートを作成し、その結果に基づいて事実上の拒絶理由通知を発出。
分割出願-最先の出願に関する審査部からの最初の通知発行日から24月以内、又は先の出願が発明の単一性の要件を満たしていない旨の最初の通知発行日から24月以内。
情報提供制度-出願公開後は、何人(匿名可)も提出可。提供された情報は出願人に送付される。出願人に反論を提出する機会を与えるためである。提供された情報は、後述する実体審査等において考慮される。

Ⅲ 権利付与後

異議申立制度-有り。ヨーロッパ特許公報に特許を付与する旨が公示された後9月以内の間に、何人(申立人を明記)も異議申立でき、利害関係は不要。
無効審判の請求-各締約国の国内規定に委任されている。
特許権の存続期間-ヨーロッパ特許付与の日からヨーロッパ特許出願の現実の出願日から20年。
実施義務-なし。

2013年11月20日更新

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